「時間がない」が口癖だった社長が、週20時間の自由時間を手に入れた方法

「時間がない」が口癖のまま走り続けていませんか?
私もかつて、毎日タスクに追われ、余裕ゼロの経営者でした。
でも、ある“仕組み”との出会いで、週20時間の自由時間が生まれたのです。
目次を見て必要なところから読んでみてください。

目次

時間がない社長が抱える本当の課題とは

経営者が「時間が足りない」と感じる理由

「今日はこれだけは終わらせよう」と思っていたタスクに、たどり着けたことが何日あったでしょうか。

かつての私もそうでした。
プロフェッショナルマーケティングという会社を立ち上げたばかりの頃、1日の予定を30分刻みでびっしり詰め込んでも、夕方には全部ズレて、夜には消耗しきっていました。

周囲からは「社長なんだから自由でしょ?」と言われる。でも実際には、社員のフォロー、営業、資料作成、請求書の確認…。時間が足りないというより、常に何かに追われていたのです。

読者のあなたも、もしかするとこんな問いが頭をよぎっているのではないでしょうか?

  • なぜ自分ばかりが忙しいのか?
  • これだけ頑張っても、なぜ時間が生まれないのか?
  • 誰かに任せようにも、どう任せればいいかわからない

この問いの答えは、時間の使い方以前に、「なぜ自分が“全部”やってしまっているのか」にあります。

それに気づかせてくれたのが、外部の経営コーチとのある対話でした。

「柳井さん、やってること全部、経営者の仕事ですか?」

この一言が、私の働き方を根本から変えるスタートでした。

忙しさの正体を明らかにする

まず押さえておきたいのは、「忙しさ」は必ずしも仕事量とは比例しない、ということです。
むしろ、「判断する回数」や「中断される頻度」が多いほど、脳の疲労は蓄積され、時間が足りなく感じるようになります。

以下は、私自身が当時記録していた1日の行動ログを基に整理した表です。

時間帯内容備考
9:00〜9:30社内朝礼要確認の案件で中断
9:30〜10:00見積もり作成営業アシスタント不在のため代行
10:00〜11:00Zoom商談前準備に追われる
11:00〜12:00メール・Slack対応緊急対応多発
13:00〜14:00クライアント対応内容重複あり
14:00〜16:00社内会議意思決定が進まず延長
16:00〜18:00提案書作成割込み多数で集中できず

このように、自分が「やるべきでない仕事」や「準備不足の仕事」に時間を取られていたことが明らかになりました。
つまり、忙しさの正体は『役割の未分化』と『仕組みの欠如』だったのです。

私は社長でありながら、アシスタントの役も、営業の役も、クリエイティブの役も全部こなしていた。これでは時間が足りなくなるのも当然です。

経営者がすべき仕事とは「未来に時間を使うこと」です。

しかし多くの社長は、「いま目の前のこと」に時間を奪われています。
だからこそ、根本的な問い直しが必要なのです。

  • これは本当に自分がやるべき仕事か?
  • 誰かに任せることで、より成果が出るのではないか?
  • 自分がやることで“足を引っ張って”いないか?

私もこの問いを毎週、自分に投げかけるようになりました。

結果として、1年後には週20時間以上の「空白時間」が生まれたのです。

この続きでは、その「時間を生み出す決断と行動」を具体的に紹介していきます。
実は、特別なツールも、天才的なスキルも必要ありませんでした。

必要だったのは、「自分の役割を定義し直す勇気」だけでした。

週20時間の自由時間を生んだ決断と行動

時間の使い方を見直すきっかけ

「このままだと、倒れますよ」

医師にそう言われたのが、今でも忘れられません。
過労による軽い貧血で病院に行ったときのことでした。たかが貧血、と思っていた私は、問診の中で自分の1週間のスケジュールを説明していて、ハッとしたのです。

睡眠時間は5〜6時間。
土日もどちらかは仕事。
経営判断だけでなく、事務作業や採用、メールの一次対応まで全部自分がやっていた。
「誰にも任せきれず、全部自分で背負っていた」という現実を、ようやく認めるしかありませんでした。

同時に、こうも思いました。

「これ以上、仕事を増やすことはできない。でも、会社は成長し続けたい」

この矛盾を解消するには、“自分がいない状態でも会社が回る仕組み”を作るしかない
それが、私が時間の使い方を根本から見直すきっかけでした。

その日から私は「1週間の仕事をすべて棚卸しする」ことにしました。

実際に、以下の3カテゴリに業務を分類しました。

  • 自分しかできない仕事:経営判断、戦略設計、資金調達など
  • 誰かに任せられるが、今は自分がやっている仕事:営業資料作成、採用面接の調整、請求書管理
  • そもそも不要・効果が薄い仕事:定例化されているが意味の薄い会議、惰性でチェックしていたメール通知など

ここで大事なのは、感情ではなく「目的」と「効果」で判断することです。

「これは自分がやった方が早い」という思い込みを捨て、
「これは自分がやるべきか?」という問いを繰り返しました。

目的なき行動は、時間の浪費です。

そして気づいたのです。
“時間がない”のではなく、“判断していない”だけだったと。

業務整理と外注化で得た気づき

業務を整理した結果、私は4つの決断をしました。

  1. 営業資料作成や顧客管理を業務委託に外注
  2. 会議は週1回・1時間に絞り、事前アジェンダ必須に
  3. 自分が関わるプロジェクト数を2つまでに制限
  4. 1日のうち「何もしない時間」を2時間設定

最初は怖かったです。「任せたら失敗するかも」「質が落ちるかも」と。

でも実際に外注してみると、専門家に任せた方が早くて質も高いということに気づきました。
そして、それを可能にするには「情報共有の仕組み」が必要だと痛感しました。

私が取り入れたのは、以下のような仕組みです。

  • 業務ごとにマニュアル化(Googleドキュメント管理)
  • タスクはNotionとSlackで共有・進捗管理
  • 毎週1回の振り返りミーティング(30分以内)

このプロセスを通して、得られた最大の気づきはこうです。

“時間が増える”のではなく、“空間ができる”ことで、思考と行動の質が高まる”ということ。

今までは「処理するための時間」しか持てなかった私が、
「考える時間」「構想する時間」「振り返る時間」を持てるようになった。

この変化が、私自身だけでなく、チーム全体の自律性や成果にも直結しました。

結果として、1週間あたり20時間、つまり平日1日分以上の自由時間が確保されました。

この自由時間で私がしたのは、家族との時間を取り戻すこと、読書をすること、経営戦略に集中すること。
それは、私の人生の質を変えただけでなく、会社の未来を変える決断を生み出す源泉になったのです。

次回は、この時間をどう設計し、何を実践したのか。
具体的な「時間術」と「やらないリスト」について、お話しします。

実際に行った時間術とマインドの転換

タスクの「やらないリスト」の作成

「ToDoリスト」よりも、私の時間を取り戻してくれたのは、「やらないリスト」でした。

多くの社長や経営者は、「やること」が増えすぎて時間がなくなっていると感じています。
しかし実際には、「やらなくてもいいこと」を整理していないだけなのです。

私は、自分の1週間の業務をすべて洗い出し、次のような3つの基準で“やらない”と決めました。

  • 自分でなくてもできること
  • 成果に直結しないこと
  • 「惰性」でやっていること

この基準で分類した後、以下のような「やらないリスト」が完成しました。

やらないこと理由対応方法
毎朝のメール確認優先度の高い仕事が後回しになる緊急案件はスタッフが仕分け
自分での請求書処理作業時間が長く、判断不要経理代行に外注
ノーアジェンダの会議時間の浪費が多い原則中止、必要なら資料提出必須
Slackの即時返信集中が途切れる返信は朝と夕方に限定
全プロジェクトへの細かい口出し現場が主体性を失う成果報告のタイミングでのみ介入

「やらない」と決めることは、勇気ではなく、戦略です。

やらないことで空いた時間には、戦略的な思考や未来の仕込みに時間を使えるようになりました。
そしてこの“余白”こそが、最終的に「時間のゆとり」と「会社の成長」の両方をもたらしたのです。

1日の時間割をルーティン化する方法

もう一つ、私の働き方を劇的に変えたのが、「時間のルーティン化」です。

つまり、毎日決まった時間に「決まった種類の仕事だけをする」ことで、脳の切り替えコストを下げ、集中力を最大化する仕組みを作りました。

以下が、私の現在の「1日の時間割」の例です。

時間帯内容ポイント
6:00〜8:00読書・思考タイムインプット+思考の整理時間
8:00〜9:00散歩・軽運動習慣化による脳の活性化
9:00〜12:00集中タスク(戦略・企画)最も集中できる時間帯を確保
12:00〜13:00昼食・休憩意図的なリセット時間
13:00〜15:00チームミーティング・レビュー出力メインの対話時間帯
15:00〜17:00クライアント対応・メール外部との接点時間帯
17:00〜18:00振り返り・明日の準備1日の整理と確認

特に意識したのは、「午前中の3時間を死守する」ことです。

この時間帯は、最も脳が冴えていて、創造的な仕事に適している。だからこそ、ここには会議も返信も入れません。
逆に、午後の時間には「判断が少ない作業」をまとめて配置するようにしました。

さらに、週単位でも「テーマ」を決めています。

  • 月曜:未来の戦略を考える日
  • 火曜:社内の改善に集中する日
  • 水曜:クライアント対応に集中する日
  • 木曜:情報発信や広報の日
  • 金曜:振り返りと来週の設計日

このように、時間を「タスク」ではなく「目的」でデザインする」ことで、
1日・1週間が格段にスムーズに進むようになりました。

時間管理とは、「何をするか」ではなく、「何をしないか」と「いつやるか」を決める技術です。

経営者は、常に意思決定を迫られます。
だからこそ、時間の中に「決めなくてもいい状態」を増やすことが、本質的な生産性向上につながるのです。

この仕組みを実践してから、私は「忙しさに振り回される」ことが激減しました。

むしろ今では、時間が余るようになり、それを“未来を育てる時間”に変えられるようになったと感じています。

次回は、その空いた時間で何をしたのか。そしてそれがどう会社の成長に繋がったのか。
「自由時間の活かし方と、その意外な効果」について、リアルな変化をご紹介します。

自由時間を得た後に変わったこと

時間を「使う」から「活かす」へ

「週20時間の自由時間ができたら、何に使いますか?」

この質問に、かつての私なら迷わず「さらに仕事を進める」と答えていたと思います。
しかし、実際に時間の余白が生まれたとき、私はある壁にぶつかりました。

“空いた時間をどう使えばいいかわからない”のです。

今までは「やらなきゃいけないこと」に追われていたので、時間があればあるほど安心でした。
でも、その“安心”の正体は「忙しさに依存していた自分」だったと気づきました。

そこから私は、時間の使い方ではなく、「時間の活かし方」を考えるようになりました。

具体的に取り組んだのは、以下の3つです。

  • 毎朝1時間、1人で未来の構想を考える時間を確保
    「3年後の市場はどうなっているか」「自社の強みはどこか」といった視点で思考を深める。
  • 読書とインプットに毎日30分を投資
    経営書・人間心理・テクノロジーなど幅広い分野に触れることで、視野が広がる。
  • 家族や友人との時間を最優先するスケジュール設計
    「誰のために働いているのか」を再確認できる時間になった。

これらの時間は、一見「直接的な利益」にはつながりません。
ですが、経営者としての意思決定の質を劇的に高めてくれたのです。

時間を“使う”だけでは、目の前の成果しか生まれません。
時間を“活かす”ことで、未来を形づくる選択ができるようになる。

この違いは、日々の判断や行動に、確かな変化をもたらしました。

事業にもたらした意外なメリットとは

私が自由時間を持ち始めて最も驚いたのは、「会社の成長スピードが上がったこと」です。

それまでは、「社長が忙しく動いていないと会社は回らない」と信じていました。
でも、現実はまったく逆でした。

以下のような変化が、実際に起きたのです。

変化前変化後
社長が現場に口を出す各リーダーが自律的に判断
問題が都度報告される課題の予防策がチーム内で実行される
社長の指示で進行メンバー自ら提案・改善が進む
営業は社長依存営業プロセスがチームで標準化

こうした変化の理由は明確で、私が「手を動かす」のをやめ、「考えを共有する」に変えたからです。

チームには、自分の判断で動ける余白を与える。
そのために、時間のある私は「ミッション」「優先順位」「評価基準」を徹底的に言語化しました。

これにより、社員は「社長の代わり」ではなく、「主体的に意思決定できる存在」へと変化したのです。

もう一つ大きかったのは、新規事業への着手が可能になったことです。

たとえば、以前から考えていた「中小企業向けマーケティング支援サービス」の立ち上げ。
この企画は、忙しい日常の中では一向に進みませんでした。
しかし、週に3〜4時間のまとまった時間が持てたことで、構想からリリースまで半年で形にできました。

自由時間は、“余裕”ではなく“未来を変える時間”です。

経営者にとって、1時間を空けることはコストではありません。
それは、次の一手を考えるための“投資”です。

私は今、週に20時間の自由時間を、会社と人生のアップデートに使っています。
かつて「時間がない」が口癖だった私が、「時間を活かす」に変わったことで、
会社も、自分自身も、より豊かに、より軽やかに進み始めました。

あなたにも、そんな“未来を生み出す時間”を、ぜひ手にしていただきたいのです。

よくある疑問とその答え

「社長が現場を離れても本当に回るの?」

これは非常に多くの社長からいただく質問です。
かつての私自身も、こう信じていました。

「現場を離れたら、会社は回らなくなる」

でも、よく考えてみてください。
会社が社長一人でしか回らないということは、「仕組みではなく、属人性で動いている」ということ。
これが、経営リスクの最大要因です。

実際に私が現場から徐々に距離を取っていったとき、最初は確かに不安もありました。
メンバーから「これ、どうすればいいですか?」という相談が減らない。
何かトラブルがあると、すぐに自分が呼ばれる。

でも、これは「現場が悪い」のではなく、「私が任せてこなかっただけ」だと気づいたのです。

そこからは次のようなステップを踏みました。

  1. 業務を役割ごとに明確に分解する
  2. 判断基準や成功の定義を、できる限り言語化する
  3. 「失敗してもいいからまずやってみて」と伝える文化を作る
  4. 相談タイミングを限定し、日常的な依存を減らす

するとどうでしょうか。
徐々に、チームが自律的に判断し、「社長がいないときほど進んでいる」という現象すら起こるようになりました。

社長が現場から離れることは、「放置」ではなく「信頼の表現」です。
むしろ、現場を信頼できるようにする仕組みを整えることが、真の経営の仕事です。

現場を離れる勇気より、任せる設計の方が成果を生みます。

時間を空けることが怖いのは、「何が起きるかわからない」から。
でも、「何を起こしたいか」を決めておけば、時間はあなたの味方になります。

「忙しい中でもまず何から始めればいい?」

最初の一歩は、意外なほど小さくて構いません。
私が変化を起こせたのは、「たった15分の自分会議」からでした。

忙しい社長がいきなり週20時間も空けるのは無理です。
だからこそ、こう始めてください。

毎朝、15分だけ「仕事を減らすための思考時間」を取る。

その時間で、以下の3つの問いを書き出してみてください。

  • 今やっていることで、やめられるものはないか?
  • 自分でなくてもいい仕事は何か?
  • 今日、本当に集中すべきことは何か?

この問いを毎日、繰り返すだけで、脳が“余計な仕事”を検知し始めます。

さらにおすすめしたいのが、「1週間の業務ログ」をつけることです。
1日の終わりに、何にどれだけ時間を使ったかをメモするだけで、次のような気づきが生まれます。

  • 集中しているつもりだったけど、実際は割込み対応ばかりだった
  • 会議や打ち合わせが意外と多く、行動時間が取れていなかった
  • 自分の判断を必要とする仕事が減らない理由が見えてきた

そして、ログがたまってきたら、「やらないリスト」に移行していきましょう。
それが、“仕事の整理”の第一歩になります。

始めるのは「手を動かすこと」ではなく、「問い直すこと」です。

時間がないと感じている時こそ、立ち止まってください。
走り続けていても、目的地が間違っていたら意味がありません。

まずは15分。
その積み重ねが、やがてあなた自身と会社の時間を取り戻す起点になります。

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この記事を書いた人

プロフェッショナル マーケティング株式会社
代表取締役

柳井 弘幸
Hiroyuki yanai

オンラインビジネスの専門家。

スターバックス、P&G、ミシュランなどに勤務し、マーケティング、商品開発分野のマネージャーおよび部長を歴任。2,125アイテム以上の新商品を市場に出すことに成功。

在職期間中に、マーケティングも商品開発もしたことのない未経験者100人以上を相手に彼らが自分一人で企画開発できるようになるまで育て上げた。

ChatGPTを使い、社内でのコンテンツ開発の効率を圧倒的に改善。
初心者でも使えるノウハウ・テンプレートを多数開発。

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